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[Research] 28/04/2020

「みんなのための美術教育」から「インクルーシブアート教育」


1990年のイギリス留学で学んだ多文化美術教育(multicultural art education)と差別のない教育を意味する「EDUCATION FOR ALL」の概念を借りて、芸術/教育を基盤にした社会改革をめざすことを宣言し、「みんなのための美術教育(Art Education for All)」というスローガンをつくりました。
このことばは美術を楽しく学びたい、アートって楽しいねという意味ではありません。同年イギリスではじめての学習指導要領(National Curriculum)がつくられたときに、多文化とジェンダーが問題点としてあげられました。これは障がい者などを含めて、だれでもが権利として楽しく豊かに学び、「自由な人間」として自立し、差別のない本当の共生社会を実現することをめざした教育を意味します。そのためには、「差異や多様性を活かし想像的創造的かつ主体的な学びができる「アートの教育」を基礎にするのがいい」という主張です。
アートの教育とは狭義の美術や音楽などの教科学習ではなく、「人が生きるための術=身体技法」のことをいいます。現代社会におけるアートは医療・福祉、教育、コミュニティづくりなどの場で新しい回路を拓くための視点を提示し、ツールやコンテンツとなり、断片化(D.ボーム)した社会システムの全体性を恢復し、かけがえのないひとり一人の命を最大限開花させる力となっています。
アートのよい所は「問い」を視覚化(見えないものを見えるように)し、わからない問いでもありのままに受容し持ち続ける術を持っていることです。現代の複雑に絡みあった問題群(環境等)には直接的な処方箋よりも、アートが持つ遊びやユーモアを含めたメタファーの力(本来結びつきそうもないものを結びつけてしまう力、P.リクール)がむしろ有効な場合があるのです。アートは美しい(薬)だけなく、むしろ毒を持っており、独立した批評性によって、「多様性」を力に変えるアートの(教育)力はインクルーシブな社会構築の基礎になるはずです。わたしは、そのことを「インクルーシブアート教育」と名づけました。すなわち障がいのある者とない者が共に学ぶ仕組みをつくるインクルーシブ教育システムとは、障がいを持つ子どものアートによる表現やコミュニケーションはむしろ普通教育の中でダイナミズムをつくり出す原動力となり、硬直化した学校をはじめとする既存の教育 をアンラーン(学びほぐし)するのです。
インクルーシブアート教育はアートの何ものにもとらわれない自由の力によって、現代教育を見直す理念と実践となるということです.
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